アレルギー
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十全大補湯の抗腫瘍活性およびγ-インターフェロンとインターロイキン2産生誘導能について
阪上 吉秀溝口 靖紘宮島 慶治久保井 広志小林 絢三木岡 清英申 東桓武田 弘森澤 成司山本 祐夫
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1988 年 37 巻 1 号 p. 57-60

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抄録

漢方方剤である十全大補湯について, in vivoにおける抗腫瘍活性と, in vitroにおけるγ-インターフェロン及びインターロイキン2誘導能についてしらべ, 以下の結果を得た.1)十全大補湯の水抽出スプレードライ乾燥末をEhrlich癌移植DDYマウスに経口投与して生存率を観察した.その結果, 十全大補湯投与群では非投与群に比べて有意な延命効果を得た.2)phytohemagglutinin刺激ヒト末梢血単核細胞のγ-インターフェロン産生に及ぼす十全大補湯刺激の影響をradioimmunoassayによって検討した.その結果, 十全大補湯添加によってγ-インターフェロン産生は有意に増強された.3)phytohemagglutinin刺激ヒト末梢血単核細胞のインターロイキン2産生に及ぼす十全大補湯の影響をenzyme-linked immunosorbent assay(ELISA)を用いてしらべたところ, 十全大補湯添加によってインターロイキン2産生は有意に増強された.これらの結果から, 十全大補湯の抗腫瘍活性は, γ-インターフェロン及びインターロイキン2産生の増強を介している可能性が示唆された.

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© 1988 日本アレルギー学会
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