アレルギー
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小児気管支喘息における蒸留水吸入試験の検討
望月 博之徳山 研一田島 公夫森川 昭広黒梅 恭芳重田 誠木村 利定館野 幸司
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1988 年 37 巻 10 号 p. 1016-1021

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抄録

蒸留水吸入試験を23名の小児気管支喘息患者ならびに6名の正常小児に施行し, 蒸留水吸入試験の吸入閾値と気管支喘息の重症度, 血清IgE値との関連, ならびに標準法によるヒスタミン吸入試験と酢酸吸入試験との比較検討を行った.蒸留水吸入試験は再現性もよく, 気道収縮の程度が比較的軽度である印象があった.血清IgE値との関連は明らかではなかったが, 小児気管支喘息の重症度を反映することがわかった.ヒスタミン吸入試験との相関は認められなかったが, 酢酸吸入試験と蒸留水吸入試験とは相関がみられた(R=0.740, p<0.001).蒸留水吸入試験において, その簡便性, 非侵襲性は小児気管支喘息患児の吸入試験として適切であり, 定性, 定量試験として従来の気道過敏性の諸検査に及ばない点があるものの, 酢酸吸入試験と相関することなどの特徴があり, 気管支喘息の気道過敏性の評価には重要であると思われた.

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© 1988 日本アレルギー学会
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