アレルギー
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漢方薬「補中益気湯」のNatural-Killer細胞活性に及ぼす影響
大野 修嗣
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1988 年 37 巻 2 号 p. 107-114

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抄録

漢方薬「補中益気湯」の臨床的効果とNK細胞活性について35例の慢性疾患々者で検討した.補中益気湯服用前のNK細胞活性は24.6±13.7%であり, 服用後30.4±14.4%となり危険率5%以下で有意の上昇であった.補中益気湯服用にて臨床症状改善が認められた8例では, 服用前19.6±9.6%であったNK細胞活性は, 服用後38.2±15.4%となり, 危険率1%以下の有意の上昇となった.また服用前NK細胞活性が20%以下と低値群も危険率1%以下で有意の上昇が認められ, NK細胞活性高値群では逆に低下する傾向が認められた.リンパ球自体に対する作用を検討すると, 50-500μg/ml濃度の補中益気湯添加mediumで培養したリンパ球では有意のNK細胞活性上昇が認められている.CD4抗体処理後およびCD8抗体処理後の細胞群による検討では, いずれもNK細胞活性高値群に対して補中益気湯が抑制的に作用していることが示唆された.補中益気湯の臨床的効果と, リンパ球に対する影響がよく一致していると考えられた.

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© 1988 日本アレルギー学会
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