アレルギー
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PAF吸入後の気道反応性亢進とそのメカニズムについて
神谷 勤子足立 満岡沢 明今井 俊道岡田 陽子佐藤 仁小林 英樹西片 光高橋 昭三
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1988 年 37 巻 5 号 p. 274-282

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抄録

15頭のビーグル犬を用い, PAF吸入後の呼吸抵抗の変化とメサコリンに対する気道反応性に与える影響について検討した.PAF吸入5分後をピークとし, 30分から1時間に消失する一過性の呼吸抵抗の有意な上昇が認められた(p<0.01).PAF吸入後1時間群, 6時間群のメサコリンに対する気道反応性は明らかに亢進し(p<0.01), 血漿中及びbronchoalveolar lavage fluid(BALF)中のTxB_2は有意に上昇した(p<0.05).BALF中の細胞所見においてはPAF吸入後の総細胞数は有意に増加し, 1時間群において明らかな好中球増多が(p<0.01), 6時間群では有意な好中球及び好酸球の増多が認められ(p<0.01), また上皮細胞の増加も認められた(p<0.01).以上より, 吸入されたPAFが好中球, 好酸球を遊走活性化することにより気道局所へこれらの細胞が集積し, 気道炎症が惹起され, TxA_2などのchemical mediatorの放出と相まって気道反応性が亢進したものと推察された.

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© 1988 日本アレルギー学会
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