アレルギー
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Dermatophagoides farinaeの気管支喘息児に及ぼす影響について
笹本 明義
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1988 年 37 巻 6 号 p. 364-370

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抄録

Pharmacia社の設定するPhadebas RAST unit(PRU)では, タリダニの一種であるDermatophagoides farinae(D.f.), Dermatophagoides pteronyssinus(D.p.)に対する値は, その上限を越えてしまうことが多い.そこで今回, 患者血清の50倍希釈系を作り, D.f.に対するRAST実測値を求めることによって, 気管支喘息に及ぼす影響について検討した.結果:1.D.f.に対するRAST(PRU/ml)は, 145.3±15.3(mean±S.E.)であった.2.D.f.値は4歳にピーク値をとった.3.IgE(RIST)・H.D.(RAST)・eosinophilとよく相関した(おのおのr=0.75・r=0.88・r=0.49).4.合併症, 家庭環境によってD.f.値は大きく左右された.5.家族歴の有無とD.f.値とは若干の有意な傾向を示した.以上のことから, D.f.値は予想以上の高値をしめし, 環境因子による後天的感作は, アレルギー症状発症の大きな引き金になると考えられた.

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© 1988 日本アレルギー学会
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