1988 年 37 巻 7 号 p. 404-410
4-6歳の気管支喘息児32名の気道過敏性を2-3年間経時的に測定し, その臨床的意義を検討した.観察開始時に重症度とヒスタミン閾値(RT-Hist)に有意な関係を認めず, 観察終了時には重症群は緩解・軽・中等症群に比し有意にRT-Histが低値であった.4-6歳では重症度とRT-Histに有意差は認めず, 7-9歳では重症群は緩解・軽症群に, 中等症群は緩解群に比してそれぞれRT-Histが有意に低値であった.重症度の推移と気道過敏性の変化の検討では, 緩解群と軽快及び軽症不変群では一定の傾向は得られず, 悪化及び中等症以上群では有意にRT-Histが低下した.緩解群と軽快及び軽症不変群を気道過敏性の変化により, RT-Hist1250μg/ml以上の不変群, 625μg/ml以下の不変群, 改善群の3群に分けると, 625μg/ml以下の不変群は他の2群に比して, 有意に気管支喘息の家族歴を有するものが多かった.以上より, 年少時の気道過敏性は末だ固定化されていないため経時的測定を行い, さらに先天・後天的要素を考慮に入れて臨床応用していくべきであると考えられた.