アレルギー
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アレルギー疾患児とステロイドホルモン : 第1編 アレルギー疾患児の間脳-下垂体-副腎機能に関する検討
勝沼 俊雄赤沢 晃飯倉 洋治
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1988 年 37 巻 9 号 p. 926-934

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抄録

アレルギー疾患児の間脳-下垂体-副腎機能に関し, 改良rapid ACTH試験, コルチゾール・ACTHの日内変動につき検討を加えた.改良rapid ACTH試験は74名の患児に試みられ, 副腎機能抑制に対し2つの指標が考えられた.1つはコルチゾール, 11-OHCSの前値で, 各々10μg/dl, 8μg/dlが境界値になると思われた.もう1つは, コルチゾール・11-OHCSの3時間値と2時間値との差であり, 重症度・ステロイド投与頻度が増すにつれ, その差は負となり値は大きくなった.本法は安全性に優れ, 副腎機能のスクリーニングとして有用といえた.コルチゾール・ACTHの日内変動は延べ20名の患児で検討され, ACTHの日内変動について5型に分類できた(Type 1=超低分泌型, Type 2=低分泌型, Type 3=過剰分泌型, Type 4=リズム失調型, Type 5=正常型).重症度順はType 1>Type 2>Type 4gt;Type 3≧Type 5となった.以上の検査は臨床的重症度をよく反映しており, 間脳-下垂体-副腎機能を表す有効な検査法と思われた.モルモット副腎を用いた実験では幼若群の方がステロイドの影響を受けやすく, ヒトでも, 若年者ほどステロイド剤の影響を受けやすいことが示唆された.

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© 1988 日本アレルギー学会
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