アレルギー
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メサコリン吸入による気道収縮に対するβ刺激剤吸入の効果 : アストグラフを用いた検討
橋爪 誠西井 聡黒川 伝太郎安永 幸二郎
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1988 年 37 巻 9 号 p. 935-943

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抄録

気管支喘息患者91例(男性43例, 女性48例, 平均43.8±11.3歳)を対象としてアトラスグラフを施行し, メサコリン吸入による気道収縮に対するβ刺激剤の効果を検討した.β刺激剤吸入時の呼吸抵抗(Rrs)の変動は, I型(吸入開始後20秒以内に低下するもの), II型(20-40秒間一過性に上昇した後低下するもの), III型(持続的に上昇するか不変, または著明な変動をきたすもの)の3パターンに大別された.臨床症例との関連より, I型は有効例, III型は無効例と判定され, 両者は呼吸抵抗回復度(Sr)0.5(cmH_2O/1/sec)を境として判別されることが明らかとなった.Sr≦0.5の無効例は, orciprenaline83例中24例(28.9%), salbutamol65例中19例(29.2%)とほぼ同じ割合であった.また両者ともに無効例は57例中9例(15.8%)で, アトピー素因の比較的少ない高齢者が多かった.メサコリンを用いた気道過敏性の測定に際しては, β刺激剤の効果を確認することが重要で, そのためにはアストグラフを用いたSrの測定が有用であると考えられる.

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© 1988 日本アレルギー学会
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