アレルギー
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川崎病のアラキドン酸代謝物についての研究 : 第2編 川崎病の血漿中Prostaglandin E_2, Thromboxane B_2および6-keto Prostaglandin F_<1α>値
笹井 敬子
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1988 年 37 巻 9 号 p. 952-958

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抄録

川崎病の血漿中Prostaglandin(PG)E_2, Thromboxane(TX)B_2および6-keto PGF_<1α>値を測定し, 炎症反応や血栓形成にかかわるchemical mediatorであるこれらのアラキドン酸代謝物の関与や治療との関連性について検討した.対象は, 川崎病患児21例で, 急性期とアスピリン30mg/kg/day内服中の回復期の血漿より, 川野らの方法に準じ, 3つの代謝物を同時に抽出精製し, radioimmunoassayで測定した.川崎病の急性期の血漿PGE_2, TXB_2および6-keto PGF_<1α>値は, 53.0±62.0pg/ml, 423±300pg/mlおよび83.4±112pg/mlで, 健常小児の各値5.7±5.1pg/ml, 108±115pg/mlおよび15.5±9.1pg/mlに比し高値で(p<0.01, p<0.001およびp<0.05), 3者の間には相関がみられた(p<0.01).アスピリン内服中の回復期の血漿PGE_2値は8.4±7.2pg/ml, 6-keto PGF_<1α>値は14.8±5.0pg/mlと正常範囲内で, TXB_2値は16.5±6.4pg/mlで健常小児より低値であった(p<0.05).種々の炎症細胞の活性化により遊離されたアラキドン酸の各種代謝物が, 本症の臨床症状や病態の発現に関与していると考えられる.また, 治療の面では, これらの代謝物の変動を考慮すべきであろう.

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© 1988 日本アレルギー学会
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