アレルギー
Online ISSN : 1347-7935
Print ISSN : 0021-4884
ISSN-L : 0021-4884
免疫化学的測定法を用いた室内空中ダニ抗原の定量的測定
松野 正知萱原 昌子足立 陽子足立 雄一村上 巧啓五十嵐 隆夫
著者情報
ジャーナル フリー

1989 年 38 巻 10 号 p. 1142-1149

詳細
抄録

ハイボリュームエアサンプラーを用いて, 室内の空気中でエアサンプリングを行い, フィルター抽出物より, 空中ダニ抗原量をRAST inhibition assayを用いて測定した.1)室内の空気中からは690〜129000pg/m^3のダニ抗原が測定された.2)室内空中ダニ抗原は, アパート3箇所では9〜10月にそのピークがみられ, 5〜6月にも増加が認められた.一方, 外来診察室には, ダニはほとんど生息していなかったが, 690〜5670pg/m^3の空中ダニ抗原が測定され, 冬期に増加する傾向が認められた.3)室内空中ダニ抗原量と室内塵中ダニ密度との間には有意の正の相関が認められた(r=0.535, p<0.01).4)空中ダニ抗原量は, 空気清浄器使用時には使用前に比して有意に減少していた(p<0.005).以上により, 室内空中に浮遊した粒子としてダニ抗原が存在し, その抗原量が塵中ダニ密度と相関することより, 喘息発作の予防として塵中ダニ数の減少を中心とした環境整備の重要性が示唆された.

著者関連情報
© 1989 日本アレルギー学会
前の記事 次の記事
feedback
Top