アレルギー
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喘息発作発症時における感染の関与白血球数と好酸球数の推移について
梅木 茂宣川根 博司副島 林造
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1990 年 39 巻 11 号 p. 1470-1476

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抄録

寛解時に閉塞性換気障害を持たない気管支喘息患者110例のうち, 喘息発作発現に気道感染の関与のない60例と, ある50例の臨床像について主に白血球数と好酸球数の推移を検討した.感染非関与群(A群)において, 入院時の発作時に白血球増多を伴わない好酸球増多症例が30例(50%)にあり, 喘息治療により30例中23例(76%)の症例で好酸球増多が2週間以内に消失した.感染関与群(B群)では, 36例(72%)で好酸球増多を伴わない白血球増多を認め, 感染症状発現から入院までの日数と入院時(発作時)の白血球数が逆の相関を示した.B群では, 感染症状発現から40日以内に発作が発現し入院した48例について, 好酸球数と入院までの日数が正の相関傾向を示し, 喘息, 細菌感染症の治療後も17例中13例(76%)で2週間以上好酸球増多を示した.一方, 入院時IgE高値例は両群とも同頻度に認めた.これらのことより, 入院時の白血球数, 好酸球数を測定することおよびこれらの経過を知ることにより, 喘息および細菌性気道感染の治療において良い指標が得られるものと考えられた.

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© 1990 日本アレルギー学会
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