アレルギー
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気管支喘息患者における末梢血白血球のロイコトリエン(LTC_4, D_4, E_4, B_4)遊離能に関する検討
篠川 真由美
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1990 年 39 巻 12 号 p. 1556-1566

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抄録

気管支喘息の病態におけるロイコトリエンの役割の一端を明らかにする目的で, 気管支喘息患者(感染型, アトピー型減感作群, 非減感作群)の末梢血白血球をcalcium ionophore A23187により刺激し, その上清中のロイコトリエンをHPLC-RIA法で測定し検討した.得られた結果は, 以下のごとくであった.1)calcium ionophore A23187刺激による末梢血白血球からのロイコトリエン遊離量は, 健常者に比し気管支喘息患者で高値を示したが, 軽症と中等症の間で有意差を認めなかった.2)感染型ではアトピー型に比し, LTB_4遊離量が高値を示し, LTC_4も高い傾向を示した.ロイコトリエンは, アトピー型だけでなく, 感染型の病態においても重要なメディエイターの一つと考えられた.3)アトピー型減感作群と非減感作群の比較では, 減感作群でペプチドLT遊離能が低い傾向を示した.さらに減感作群では, LTC_4のspontaneous releaseも有意に減少していた.4)減感作療法の有効機序は, 現在でも完全には解明されていないが, 末梢血白血球からのペプチドLT遊離能の低下もその一つであることが示唆された.

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© 1990 日本アレルギー学会
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