アレルギー
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川崎病のCytokineに関する研究 : 第3編 血清中Gamma Interferonについて : Tumor Necrosis Factor, Interleukin 2 Receptorとの関連性を含めて
松原 知代
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1990 年 39 巻 2-1 号 p. 118-123

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抄録

45例の川崎病患児について血清中gamma interferon(IFN-γ)をsandwich radioimmunoassayで測定した.急性期の川崎病患児45例中15例(33.5%)に血清中IFN-γが陽性(0.3unit/ml以上)であった.対照疾患として, 麻疹14例, 溶連菌感染症3例, アナフィラクトイド紫斑病17例, 若年性関節リウマチ3例, 全身性ループスエリテマトーデス1例, 多発性静脈周囲炎1例, 皮膚節炎1例について血清中IFN-γ値を測定した.麻疹では高値を示した.血管炎では若年性関節リウマチと全身性ループスエリテマトーデスの2例のみ血清中IFN-γが陽性であった.さらに川崎病患児について, 血清中IFN-γ値と共に血清中tumor necrosis factor(TNF)値および遊離interleukin 2 receptor(IL-2R)値を同時に測定し, その血清中サイトカインの陽性率(IFN-γ値は0.3unit/ml以上, TNF値は10unit/ml以上, 遊離IL-2R値は1056unit/ml以上)と冠動脈病変との関連性について検討した.冠動脈病変合併例では, 合併のみられない症例に比してより多くの血清中サイトカインレベルの上昇がみられた.以上より, 川崎病では免疫担当細胞の活性化を反映して血清中サイトカインベルの上昇がみられた.免疫担当細胞の極めて強い活性化が冠動脈病変に進展しうるものと思われた.

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© 1990 日本アレルギー学会
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