1990 年 39 巻 5 号 p. 452-458
human recombinant interleukin 3 (hrIL-3)には, ヒト白血球からヒスタミン遊離を惹起する作用が認められた.この反応は, 抗ヒトIgE, thrombin, f-met.peptideによるヒスタミン遊離と有意な正の相関を示したが, A23187とは相関しなかった.これらからhrIL-3によるヒスタミン遊離の機序には抗ヒトIgE, thrombin, f-met peptideによる場合と, 何らかの共通点があることが示唆された.しかし, ヒスタミン遊離の時間経過をみると, hrIL-3による反応は抗ヒトIgEに比べると緩徐であった.次にhrIL-3による前処理の影響を検討してみるとhrIL-3によるヒスタミン遊離に対しては減弱させたが, 抗ヒトIgE, thrombin, f-met, peptide, A23187に対しては増強させた.以上からhrIL-3によって惹起されるヒスタミン遊離の機序はA23187だけではなく抗ヒトIgE, thrombin, F-met, peptideとも異なる機序によることが示唆された.気管支喘息患者の白血球からのヒスタミン遊離を検討した結果, 気管支喘息とコントロールの間ではhrIL-3に対する反応性には有意な差はみられなかった.