アレルギー
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ELISA法によるINHとその代謝物に対する特異IgE抗体の検出吸入及び内服感作のメカニズム
下田 照文
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1990 年 39 巻 7 号 p. 567-576

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抄録

我々はINH(Isoniazid)粉末の吸入による即時型職業性喘息の2例を経験し, その感作のメカニズムについて検討し, INH並びにその代謝物であるINA(Isonicotinic acid)に対する特異IgE抗体の存在をELISA法にて検索した.更に, INH内服中の肺結核患者に対しても同様に検索し, 吸入及び内服による感作の程度についても検討した.その結果, INH特異IgE抗体陽性は、INH吸入群8名中5名, 肺結核患者142名中10名に認められた。INA特異IgE抗体陽性は, 吸入群で3名, 内服群で7名に認められた.INH内服既往のない気管支喘息患者45名と健常人42名ではINHあるいはINAに対する特異IgE抗体は検出されなかった.また, ELISA inhibition assay法によりINHとINA間に交差抗原性が認められた.以上より, INH誘発喘息の発症機序はINHをハプテンとするI型アレルギーによることが立証され, INHは吸入及び内服のいずれによっても感作物質となり得る可能性が示唆された.

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© 1990 日本アレルギー学会
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