アレルギー
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ラット気道におけるPeptide Histidine Isoleucine(PHI)免疫活性に関する基礎的検討
石塚 全黒沢 元博
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1990 年 39 巻 7 号 p. 577-586

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抄録

peptide histidine isoleucine(PHI)はvasoactive intestinal peptide(VIP)とともに気道における非アドレナリン・非コリン作動性抑制神経の神経伝達物質と推定されている.気道におけるPHIの動態を検討するために, 気道組織中ラットPHIの測定を試みた.ラットPHIを抗原として家兎を免疫し, VIPと交差反応のない高力価の抗血清を得た.この抗血清を用いてラットPHIのラジオイムノアッセイ法を確立した.ラットにマイクロ波を照射後採取した気管, 肺外気管支および肺を0.5N酢酸存在下にホモジナイズし、煮沸後, 35,000×gで遠心して得られた上清を凍結乾燥し, 測定に供した.湿重量1g当たりのPHI免疫活性は気管5.12±1.35(平均値±標準偏差)pmol, 肺外気管支1.66±1.15pmol, 肺0.12±0.06pmolであり, PHIは中枢気道に多く存在した.市販のVIP抗血清を用いて, 同時にラット気道におけるVIP免疫活性を測定した結果, PHIとVIPの測定値は類似しており, ラット気道ではPHIとVIPが前駆物質より1:1の割合で合成される可能性が示唆された.

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© 1990 日本アレルギー学会
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