アレルギー
Online ISSN : 1347-7935
Print ISSN : 0021-4884
ISSN-L : 0021-4884
小児気管支喘息の長期予後 : 第1報 予後および予後に影響を及ぼす因子について
丸尾 はるみ橋本 景子下田 恵子島貫 金男中山 徹山口 博明椎貝 典子内村 公昭三ツ林 隆志赤坂 徹前田 和一岡田 文寿鈴木 五男
著者情報
ジャーナル フリー

1990 年 39 巻 7 号 p. 621-630

詳細
抄録

1988年, 小児気管支喘息の長期予後と予後に影響する因子を明らかにするため, 1,592名(男1,038, 女554)を対象としてアンケート調査を行った.調査時の年齢は平均20歳(観察期間は平均12年)であり, 長期予後は緩解が75.6%, 軽快が18.2%, 不変が4.0%, 悪化が0.9%, 死亡が1.3%であった.発症年齢は平均2.7歳であり, 20年前の報告と比べて約1歳低年齢化していた.治癒年齢は男子が平均13.0歳, 女子が12.3歳であった.発症年齢が2歳以下, 発症から初診までの期間が10年以上, 初診時の重症例, 入院歴のある者, 食物アレルギーの有る者の緩解率は不良であった.食物アレルギーが有る者は喘息発症年齢が約1歳低く, 初診時の重症例, 乳児期湿疹のある例, 喘息以外のアレルギー疾患を2つ以上合併している例が多かった.このような乳児喘息例を難治性喘息のハイリスク児としてとらえ、綿密な指導と経過観察が必要であると考えられた.

著者関連情報
© 1990 日本アレルギー学会
前の記事 次の記事
feedback
Top