アレルギー
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Ozone 暴露後の気道反応性亢進に対する特異的 Thromboxane A_2受容体拮抗剤の影響
今井 俊道足立 満伊平 慶三菅沼 孝夫高橋 昭三山口 裕斎藤 千里前田 昌子辻 章夫
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1991 年 40 巻 1 号 p. 28-36

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抄録

イヌにおいて, ozone 暴露後に惹起される気道反応性亢進における TxA_2の関与を検討する目的で, TxA_2受容体桔抗剤 AA-2414を用い実験を行った. メサコリンに対する気道反応性は7Hz oscillation 法によるアストグラフを用いて測定し, 同時に末梢血好中球数, BALF 中のTxB_2, 6-keto-PGF_<1α>及び細胞分画の変化について検討した. ozone 暴露は3.06±0.06ppm(mcan±SE), 2時間行った. ozone 暴露後, 気道反応性は有意に亢進(p < 0.01)したが, AA-2414前投与により ozone 暴露後の気道反応性亢進は有意に抑制された(p < 0.01). 末梢血好中球及び BALF 中の好中球は, ozone 暴露により明らかな増加を示し, AA-2414前投与によっても抑制されなかった. BALF 中のTxB_2は, ozone 暴露後明らかな変化はなく, AA-2414前投与後の ozone 暴露においても変化は認められなかった. BALF 中の6-keto-PGF_<1α>は, ozone 暴露により減少傾向を示し(p < 0.1), AA-2414前投与による ozone 暴露後も同様に減少した(p < 0.1). 以上より, イヌにおける ozone 暴露後の気道反応性亢進には, TxA_2が関与していることが示唆されたが, TxA_2の産生亢進ではなく, PGI_2の減少によるTxA_2の相対的増加による可能性もあると考えられた.

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© 1991 日本アレルギー学会
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