アレルギー
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免疫化学的測定法を用いた空中ユスリカ抗原の定量的測定
松野 正知村上 巧啓足立 雄一足立 陽子萱原 昌子岡田 敏夫荒川 良河合 幸一郎五十嵐 隆夫
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1991 年 40 巻 1 号 p. 51-59

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抄録

ハイボリュームエアサンプラーを用いて屋外でエアサンプリングを行い, フィルター抽出物よりユスリカ抗原を RAST inhibition assay を用いて測定し, 以下の結果を得た. 1) 大気中からは0.3ng以下〜6.8ng/m^3のユスリカ抗原が測定された. 2) 大気中のユスリカ抗原量は春から秋にかけて増加しており, 特に夏季に大きなピークを形成していた. また, ユスリカ発生量も空中抗原量とほぽ同様の季節的変動パターンを示していた. 3) 大気中のユスリカ抗原量とユスリカ発生量との間には有意の正の相関が認められた. また, エアサンプリング中あるいは直前の気象は大気中のユスリカ抗原量には強い影響を及ぽさないと考えられた. 4) 富山においてはユスリカ RAST 陽性の喘息群で, 大気中のユスリカ抗原量が最も高値をとる7, 8月に発作回数が増加していた. 以上により大気中には浮遊した粒子としてユスリカ抗原が存在しており, 喘息発作に関与していると考えられた.

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© 1991 日本アレルギー学会
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