アレルギー
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乳児湿疹におけるIgE・IgG_4抗体の検討 : 第1編 湿疹出現部位による比較
笹本 明義斎藤 誠一内山 宏幸岸田 勝多胡 博雄小屋 二六松本 広伸小渋 達郎飯倉 洋治
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1991 年 40 巻 10 号 p. 1310-1319

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抄録

生後5力月から7力月の乳児191名(湿疹群および非湿疹群)を対象として, 血清総IgE値・血清IgA値・特異IgE抗体価・特異IgG_4抗体価・好酸球(%)について検討を加えた. 湿疹児は, その広がりによって4群に分類し非湿疹児との比較をおこなった. その結果, (1)血清総IgE値は, 湿疹の広がりにつれて高値を示した. (2)食物抗原に対するRAST陽性率も同様に湿疹の広がりにつれて高率であった. (3)米または小麦抗原に対してのRAST陽性者は9名のみで, いずれも他の抗原に対して強い反応を認めた. (4)この年齢の乳児にとって, 測定下限であるIgE 10IU/mlは, 若干高すぎると思われた. (5)特異IgG_4抗体(卵白・牛乳・大豆)陽性例は, ほとんどが牛乳であった. (6)牛乳特異IgG_4抗体陽性例18名全例が牛乳特異IgE抗体陰性であり, 一方牛乳特異IgE抗体陽性例全例が牛乳特異IgG_4抗体陰性であった. 以上の結果から, 生後5〜7力月の乳児の食物アレルギーと, 湿疹の広がり方の程度との間には密接な関係があることが示唆された.

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© 1991 日本アレルギー学会
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