アレルギー
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血清中Eosinophil Cationic Protein濃度測定結果と気管支喘息患者の各臨床因子との関連について
三好 麻里桜井 隆児玉 荘一
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1991 年 40 巻 11 号 p. 1391-1398

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抄録

好酸球顆粒内蛋白の一つであるECPの血清中濃度を当院通院中の小児気管支喘息患者126名を対象として測定し, 各種臨床的背景因子との関連を調べて気管支喘息患者におけるその臨床的有用性を検討した. 採血後1時間室温で放置して血清分離し, ECP RIA kitで測定した. 血清ECP値は過去24時間以内に喘息発作のあった群で有意に高値を示し, ほぼ毎日慢性的に発作を繰り返す患者でさらに高値であった. また, 過去1年間の重症度が重症であるほど血清ECP値は高値を示し, 気管支喘息の既往年数が長期になるほど高値となる傾向にあった. 採血時に喘息発作状態であった患者では, 発作持続時間が12時間以内で極めて高値であり, それ以降では発作状態が継続していても高値を示さなかった. またそのときの発作の程度と血清ECP値に有意差はなかった. 一方, 血清ECP値と末梢好酸球数には相関関係はなかった. 以上より, 血清ECP値は気管支喘息の発作時に高く, さらに慢性的に活動状態が続くとより高値を示すと思われ, また末梢好酸球数に比較して好酸球の活性化の状態をより直接的に反映していると考えられた. 血清ECP値の測定は気管支喘息の病態やコントロール状態を知るうえで臨床的に有用であると思われた.

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© 1991 日本アレルギー学会
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