アレルギー
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ラパス貝 (Grand Keyhole Limpet) による即時型アレルギーの11例
前田 昇三森川 昭廣加藤 政彦茂木 洋一重田 誠徳山 研一黒梅 恭芳成富 由司末廣 和久草場 公宏蓑島 宗夫岩田 俊
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1991 年 40 巻 11 号 p. 1415-1420

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抄録

近年, あわびに似たラパス貝(grand keyhole limpet)が, 大量に輸入され食用に供されている. 我々は, この貝による即時型アレルギー反応を呈した11例を経験し, 皮膚テストおよび血清学的検討を加え, さらにGKLの抗原性についても検討した. 症例は, 9歳〜49歳, 平均17.1歳で, 男性8例, 女性3例の計11例であり, 調べられた範囲では全例気管支喘息などのアレルギー疾患の既往を有していた. GKL摂取後の症状は, 蕁麻疹, 喘鳴, 呼吸困難, ショックなどであり, 1例は呼吸不全のため挿管し, 人工呼吸を行った. その他の例は輸液, ステロイドホルモン剤, 抗ヒスタミン剤などの投与で症状は軽快した. アレルギー学的に検討しえた症例についてみると, ほとんどの症例がGKLに対してプリック反応陽性で, GKLのRASTは全症例が陽性であった. また, RAST inhibition testで, GKLはあわびやkeyhole limpet hemocyaninに対して共通抗原性を認めた. また, GKLの抗原について, immunoblotting法を用いて検討した結果, 主要抗原は, 主に分子量38Kdと80Kdの部位に存在することが示唆された.

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© 1991 日本アレルギー学会
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