アレルギー
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アトピー性皮膚炎患者におけるDFおよび米のIgE-RASTと臨床的因子との関係 : 多変量解析数量化II類による検討
宮川 加奈太
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1991 年 40 巻 12 号 p. 1500-1510

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抄録

300名のAD患者に対し, 多変量解析数量化II類を用いて, 12の臨床的因子およびDF・米のRASTとの間にある関係を解析した. 本研究では肘窩や膝窩・頚部の「屈側部位」に皮疹を有する典型的患者をADと定めた. 1) DFのRASTを目的変数とした分析では, 陽性・陰性の判別に有用な説明変数として12の臨床因子から5つのアイテムを選択することができ,〔発症年齢〕>〔年齢〕>〔本人の喘息〕>〔性〕>〔本人の鼻アレルギー〕の順で判別に影響力を持っていた. RAST陽性に対しては「発症年齢10歳未満」が最も強い影響力を持ち,「年齢20歳以上」,「喘息が現在あり」「鼻アレルギーが現在あり」などが続いた. 2) 米のRASTに対しては,〔罹患年数〕>〔顔面の皮疹〕>〔体幹・四肢の皮疹〕>〔性〕>〔年齢〕の5つのアイテムが順に影響を持っていた. 陽性に対しては「罹患年数5年以上」の影響力が強く, 難治性の指標である「顔面の苔癬化」「体幹・四肢の苔癬化」が続いていた. 以上より, 難治性のADにおいて米の関与を検討していく必要があることが示唆された.

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© 1991 日本アレルギー学会
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