アレルギー
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喘息患者に対するサーファクタント吸入の試み
倉島 一喜小川 晴彦大家 多喜雄藤村 政樹松田 保小林 勉
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1991 年 40 巻 2 号 p. 160-163

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抄録

喘息発作では粘液分泌の亢進, 粘液線毛輸送系の障害が認められ, 粘液栓の形成や末梢気道の閉塞をきたすと考えられる. サーファクタントは粘稠なゲル層をゾル層と開離させるほか, 末梢気道の開存性に重要な役割を果たしていると考えられる. 今回我々は喘息患者の発作時にサーファクタント吸入療法を行い, その効果について検討した. 方法は喘息発作にて来院した患者11名を無作為に次の2群に分けて治療した. 対照群5名では生食1mlをジェットネブライザーにて吸入し, サーファクタント治療群6名ではサーファクタント TA 10mg(1ml生食に懸濁)を同様の方法で吸入した. 両群とも投与前後で呼吸機能, ガス分析の測定を行い薬剤の効果を検討した. その結果, 喘息発作時, 生食吸入群では, FVC, FEV_<10>, MMF, PaO_2に有意な変化はみられなかった. サーファクタント治療群では吸入後FVC, FEV_<10>, MMF, PaO_2はそれぞれ11.7%, 27.3%, 33.2%, 13.4%上昇した. またPaCO_2には有意な変化は認められなかった. 以上より喘息発作時においてはサーファクタント吸入療法の有用性が示唆された.

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© 1991 日本アレルギー学会
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