1991 年 40 巻 4 号 p. 454-463
イヌにおいて, PAF 吸入による気道反応性亢進及び気道への炎症性細胞浸潤における, 5-lipoxygenase 代謝産物の関与を検討するために, 選択的5-lipoxygenase 阻害剤 AA-861 を用い実験を行った. メサコリンに対する気道反応性は, 7Hz oscillation 法によるアストグラフにより測定した. PAF 吸入 (1000μg/ml) 3時間後に気道反応性は有意に亢進し (p < 0.01), 同時に気管支肺胞洗浄液 (BALF) 中の好中球及び好酸球の有意な増加が認められた (p < 0.01). また, PAF 吸入により BALF 中の thromboxane (Tx) B_2 が有意に増加した (p < 0.05). AA-861前投与により, PAF 吸入による気道反応性の亢進は有意に抑制され (p < 0.01), 更に BALF 中の好中球, 好酸球の増加もともに有意に抑制された (p < 0.01). また, BALF 中の TxB_2 の増加は認められなかった. 以上より, PAF 吸入による気道反応性亢進及び気道への炎症性細胞浸潤には, 5-lipoxygenase 代謝産物が関与していることが示唆された. また, 気道ヘ浸潤した炎症性細胞から TxA_2 が遊離され, 気道反応性亢進に関与している可能性が考えられた.