アレルギー
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川崎病における皮膚病変の免疫組織学的研究 : 特に浸潤細胞の解析を中心として
菅原 敏明
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1991 年 40 巻 4 号 p. 476-482

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抄録

川崎病皮膚病変の病理組織学的特徴は, 真皮乳頭層での血管拡張を伴った著しい炎症性水腫である. しかしながら川崎病においては, 好中球は殆んど認められずに単核球細胞を認めるという点が異なっている. この浸潤細胞に着目しモノクローナル抗体による免疫組織化学染色法を用いて浸潤細胞の免疫学的解析を行い, 川崎病の病態について検討した. 対象は10例の川崎病患児の急性期に出現する皮膚病変 (内3例は BCG 接種部位) の生検組織である. 浸潤細胞は CD4陽性 T 細胞と LeuM3陽性マクロファージが主体で B 細胞は殆んど認められなかった. 二重染色法により CD4陽性 T 細胞は HLA-DR 抗原陽性であり活性化ヘルパー T 細胞であった. interleukine-2 (IL-2) により誘導される Leu 23抗原を浸潤細胞に認めた. また interferon-γ (IFN-γ) により誘導されると考えられている表皮ケラチノサイトの HLA-DR 抗原を認めた. BCG 部位の皮膚病変は, それ以外の部位と基本的には変わりないが炎症の程度が増強されていた. 対照として, 麻疹患児2例の皮膚病変について同様の検討を行ったが浸潤細胞は CD2陽性 T 細胞であり, 川崎病とは異なっていた. 以上の成績から, 川崎病の皮膚病変は免疫組織学的には, 遅延型過敏反応を示唆する組織像と考えられ, 本症の発症にマクロファージ, ヘルパーT 細胞が強く関与していることが示唆された.

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© 1991 日本アレルギー学会
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