アレルギー
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アトピー性皮膚炎に対する低アレルゲン米 (HRS-1) の臨床効果
池津 善郎池部 敏市小倉 英郎小田嶋 博黒坂 文武佐瀬 くらら杉内 政巳杉山 朝美勝呂 宏鈴木 慎一郎藤沢 重樹北條 徹松井 猛彦松田 三千雄山本 淳四本 秀昭
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1991 年 40 巻 6 号 p. 633-642

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抄録

米アレルギーの関与が考えられるアトピー性皮膚炎(AD)患者に対する通常米の厳格除去効果を臨床的に検討することを目的として, 低アレルゲン米(HRS-1)の代替食療法を多施設共同で実施した. その際, 米と小麦との交叉反応性を考慮し小麦も厳格除去した. このHRS-1は, 抗原蛋白を除去するため蛋白分解酵素処理した米である. 総実施例49例のうち除外・脱落などを除いた43例を解析対象とした. 多くの症例でHRS-1摂取直後から4週にかけてAD病変の範囲・重症度指数(ADASI)の急速な低下が観察され, 2週後, 4週後, 最終判定日(平均5.6週)のADASIは, それぞれ開始時と比較して有意に低下した. 全般改善度において「改善」以上の改善率は, 2週後では39%, 4週後では67%, 最終判定日では74%であった. また, 併用ステロイド外用剤の減量効果においても「軽減」以上の症例は, 最終判定日で約半数に認められた. 3例の悪化のほかに特記すべき副作用は認められなかった. 有用性の成績は, 43例中「非常に有用」が17例(40%),「有用」が13例(30%),「やや有用」が9例(21%)であり,「有用」以上の有用率は70%であった. HRS-1は, 米アレルギーに悩む難治性重症AD患者の代替食として高い有用性のあることが認められた.

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© 1991 日本アレルギー学会
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