アレルギー
Online ISSN : 1347-7935
Print ISSN : 0021-4884
ISSN-L : 0021-4884
IgGおよびIgE抗体により認識される卵白アルブミン, オボムコイドの抗原構造についての検討
本間 季里青柳 正彦斎藤 公幸西牟田 敏之杉本 和夫角尾 肇新美 仁男河野 陽一
著者情報
ジャーナル フリー

1991 年 40 巻 9 号 p. 1167-1175

詳細
抄録

卵白アレルギーの主要抗原であるovalbumin (OA), ovomucoid (OVM)の分子表面に存在する多くの抗原決定基のなかで, アレルギー反応に関与する抗原決定基を解析するため, 種々の物理化学的処理により, OA, OVMの高次構造を変化させ, これらの変性OA, OVMに対するIgG抗体, IgE抗体の結合能を検索した. 対象者は, 抗OA IgE抗体が陽性の8名, 抗OVM IgE抗体が陽性の12名とし, 測定はELISA法にて行った. OA, OVMの高次構造に対する抗原特異的IgG抗体, IgE抗体の結合能の解析から以下の事実が示された. 1) OVMに対するIgG抗体, IgE抗体は主としてOVMの一次構造よりなる抗原決定基を主に認識している. 一方, OAに対するIgG抗体, IgE抗体はOAの一次構造とともに高次構造を認識している. このことは, OVMとOAは抗原としての物理化学的性状が異なり, OVM の方がOAに比べ, 抗原としてより安定であることを示唆している. 2) 変性したOA, OVMに対する抗体の結合能にはIgG抗体とIgE抗体の間で, 統計的にも有意差が認められた. すなわち, IgG抗体とIgE抗体では, その特異性が異なることが示唆された.

著者関連情報
© 1991 日本アレルギー学会
前の記事 次の記事
feedback
Top