アレルギー
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アスピリン拡張喘息 (Asthma Relieved by Aspirin, ARA) の1例 : 本邦第1例目の呈示と病態の検討
妹川 史朗佐藤 篤彦谷口 正実豊嶋 幹生中澤 浩二早川 啓史千田 金吾
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1992 年 41 巻 11 号 p. 1597-1604

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抄録

各種NSAID投与にて気管支拡張を認める喘息 (アスピリン拡張喘息 ; ARAと仮称) の本邦第1例目を報告する. 症例は51歳, 男性. 41歳発症の喘息, 副鼻腔炎合併. IgE (RIST) 1, 400IU/ml, 皮膚テストでダニ, ハウスダスト, スギが陽性. ダニ10^<-4>吸入にて二相性の喘息反応を認めた. アスピリンDLリジン静注でFEV_1 2.17→2.82 Iと増加し, 鼻閉も改善. 他のNSAID (インドメサシン, メフェナム酸, ケトプロフェン) でも30%以上のFEV_1の増加を認め, ARAと確診した. 本症における各種薬剤の効果を検討した結果, AIAと相反する病態として, NSAIDだけでなくコハク酸エステルステロイドで拡張し, lipoxygenase阻害剤 (AA861) で発作が誘発 (AIAでは不変) された. 逆にAIAと同様の病態としてDSCGで拡張し, パラベン, コハク酸エステルクロラムフェニコールで発作を認めた. 以上の結果よりARAもAIAと同様, アラキドン酸代謝系の異常を有することが推定されたが, AIAと逆の病態だけでなく同様の病態を併せ持つことが明らかとなった. 本症例はAIAの発症機序を考える上でも貴重な症例と考えられた.

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© 1992 日本アレルギー学会
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