1992 年 41 巻 5 号 p. 607-614
これまでに我々は, 感作モルモット抗原暴露後の遅発型気道反応 (LAR) の出現に好酸球の浸潤と活性化, また, それを誘導する化学伝達物質として抗原暴露により生じたPAFの関与を支持する報告を行ってきた. 今回同感作モルモットに外因性に投与したPAFによっても類似のLARが再現し得るか検討した. さらに気道粘膜の組織学的検討も行った. 卵白アルブミン連続反復吸入暴露による能動感作モルモット群の吸入PAFに対する呼吸抵抗 (Rrs) のdose-response curveは, 非感作群のそれに対して有意に左へシフトし, 吸入PAFに対する気道反応性の亢進を認め, 各群のPC_<200> PAF, すなわちbaseline Rrsの2倍を示すPAF吸入液濃度は感作群で780±94.3μg/ml, 非感作群で3800±604.9μg/mlであった. また各群のPC_<200> PAFで示されるPAFをそれぞれ吸入させた後のRrsの経時的変化を測定したところ, 能動感作群でのみ6例中4例に吸入3〜9時間後に明らかなRrsの上昇を認めた. 以上感作動物においては, 外因性に吸入させたPAFによっても抗原暴露同様, LARが誘発され, PAFおよび能動感作というpriming効果がLARの出現に重要であることが示唆された.