1992 年 41 巻 9 号 p. 1354-1366
propidium iodide (PI) 蛍光色素を用いたヒト末梢血リンパ球の抗原特異的IL2反応性の測定法を開発した. 病因抗原で刺激後5日間培養した患者リンパ球の生細胞数と, 測定した蛍光色素量とは直線的な正の相関を示し, そのbackground色素量は全体の5%以下であった. 培養細胞に添加して3日間二次培養したIL2の量に比例して蛍光色素量が測定され, 0.1units/200μlのIL2量 (細胞数2〜6×10^5) で平衡に達した. アトピー患者リンパ球を病因抗原である卵白アルブミン (OVA), α-カゼイン (α-casein), スギ抗原 (JC) あるいはダニ抗原 (Df) のいずれかのアレルゲンで刺激すると, 症状が誘発される抗原に対してIL2反応性が特異的に誘導された. また誘導されたIL2反応性は従来のトリパンブルー法で測定したものと同程度であった. 健康人ではこのような反応は認められなかった. 抗原特異的IL2反応性の測定方法としてPI蛍光色素を用いる方法は簡略かつ迅速でありアレルギー性疾患における病因抗原の検索や病勢を把握する上で臨床上有用と考えられた.