1992 年 41 巻 9 号 p. 1388-1397
従来の減感作療法に比べて安全で, 少ない抗原投与頻度で効果が得られる抗原投与方法開発のため, 抗原含有の生体内分解性マイクロスフィアを作製し, モルモット減感作療法モデルにおいて基礎的検討を行った. 抗原 (ovalbumin, OA) と生体内分解性ポリマー (poly (lactic/glycolic acid), LGA) よりなるマイクロスフィア (OA-LGA MS) を液中乾燥法にて作製し, OA感作モルモット皮下に投与し, 局所全身の安全性, 治療効果を評価した. in vivoでOA-LGA MSは7〜14日間に亙ってOAを徐放し, 特に投与3日以内に大部分が放出された. OA-LGA MSに対する局所組織反応はOA-alumに比べて極めて軽微であった. OA感作モルモットに対してOA-LGA MSを2週毎, 8週間漸増投与 (high-LGA群) した結果, OA吸入試験での閾値およびOA特異的IgG2抗体価の有意の上昇を認めた. これらの結果はOA-alum投与 (alum群) より優れ, OA単独頻回投与 (conventional群) とほぼ同等であった. 以上より抗原-LGA MSは安全で抗原投与間隔を延長できる新しい減感作療法剤として期待できると結論された.