1993 年 42 巻 10 号 p. 1616-1622
モルモットに超音波破砕したP. aeruginosa菌体浮遊液を吸入させることにより, 急性出血性胞隔炎モデルを作成した. BALFの検討では, 吸入後8時間をピークとする肺胞マクロファージ, 好中球, 好酸球の著しい浸澗が認められたが, 前2者の上昇は吸入24時間後まで持続した. 血清中の補体(CH50, C3)は, 吸入後低下傾向を示したが, その後C3は徐々に増加, CH50は低下傾向が認められた. BALF上清のポリエチレングリコール沈殿物補体消費試験では, 肺胞中に存在する抗緑膿菌自然抗体と吸入抗原とが作る免疫複合体の存在が示唆され, 補体活性化因子の一つであることが示唆された. コプラ毒による低補体モルモットにおける吸入実験では肺傷害が軽減され, この吸入実験モデルの肺傷害機序における補体の重要性が推測された.