アレルギー
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鼻アレルギー症例における血清中Soluble ICAM-1と鼻粘膜組織中ICAM-1 Messenger RNAの発現について
寺田 修久今野 昭義山下 哲次福田 節也栗本 文彦山森 俊治多田 裕之戸川 清
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1993 年 42 巻 2 号 p. 87-93

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抄録

Intercellular adhesion molecule-1は好酸球浸潤や過敏性の成立に重要な役割をはたしていることが知られている。鼻粘膜においても血管内皮細胞, 腺房周囲, 上皮直下にICAM-1の発現が観察される。今回著者らは抗原誘発後の鼻粘膜においてICAM-1 messenger RNAの発現が増強されることをRT-PCR, Southern blot hybridizationにて明らかにした。ハウスダスト (HD) に感作された鼻アレルギー患者の一側下甲介粘膜をHD抗原ディスクにて誘発, 他側には抗原を含まないコントロールディスクをおき6時間後に左右別々に鼻粘膜を採取した。誘発前にもICAM-1 messenger RNAの発現が観察されたが6時間後さらに増強されていた。血清中soluble ICAM-1濃度をサンドイッチELISA法にて測定した。鼻アレルギー群380.7±105.2ng/ml (N=70), 正常群278.6±64.6ng/ml (N=50) と鼻アレルギー群において有意に増加していた。鼻アレルギー症例の鼻粘膜にはより多くのICAM-1が発現しており, 好酸球をはじめとする炎症細胞の浸潤を促進し, かつ機能的亢進にも関与している可能性が高いと考えられる。

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© 1993 日本アレルギー学会
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