アレルギー
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ステロイド依存性重症難治性喘息に対する複合温泉療法の臨床効果
谷崎 勝朗貴谷 光岡崎 守宏御船 尚志光延 文裕本家 尚子木村 郁郎
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1993 年 42 巻 3-1 号 p. 219-227

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抄録

ステロイド依存性重症難治性喘息52例を対象に, 温泉プール水泳訓練, 鉱泥湿布療法, およびヨードゾル吸入療法からなる複合温泉療法を行い, その臨床効果について検討した。1. 複合温泉療法の臨床効果は, 52例中32例 (69.2%) に認められた。そして, この効果は, 41〜50歳 (87.5%) および51〜60歳 (84.2%) の年齢層においてより高い傾向がみられた。2. 臨床病型別の有効率では, Ia-1型 (1日喀痰量49ml以下) に比べ (54.2%), Ia-2型 (1日喀痰量50〜99ml) (83.4%), Ib型 (77.8%), II型 (80.0%) においてより高度であった。3. 温泉療法の効果は, 気道炎症反応ともある程度関連しており, BAL液中の好中球や好酸球の頻度の高い症例により有効であった。4. 温泉療法により換気機能が改善されたが, 特にIa-2型, Ib型およびII型では, %MMFや%V25値で平均20%以上の改善がみられた。5. 温泉療法により, 気道過敏性は改善傾向を示し, 検査し得た11例中6例 (54.5%) で明らかな改善が認められた。6. 温泉療法により, ステロイドホルモンの長期投与により著明に低下した副腎皮質機能が改善され, 同時に対象52例中30例 (57.7%) で副腎皮質ホルモンの減量が可能であった。

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© 1993 日本アレルギー学会
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