アレルギー
Online ISSN : 1347-7935
Print ISSN : 0021-4884
ISSN-L : 0021-4884
高齢者気管支喘息の特徴について
野上 裕子岸川 禮子小田嶋 博鶴谷 秀人廣瀬 隆士西間 三馨
著者情報
ジャーナル フリー

1993 年 42 巻 4 号 p. 514-521

詳細
抄録

高齢者喘息の特徴について検討するため, 慢性肺疾患の合併のない70歳以上の気管支喘息と20歳代の気管支喘息患者の背景因子を比較した。70歳以上の高齢者喘息の発症年齢は50歳以上が65.5%を占め平均罹病期間は21.4年であった。高齢者は重症, 慢性型がそれぞれ42.1%, 93.0%と多かった。末梢血IgE値は若年者に比して高齢者では有意に低値であった。重症度別の発症年齢, 罹病期間の比較では, 若年者では重症ほど早期発症で罹病期間が長かったが, 高齢者では差を認めなかった。非発作時の換気機能は若年者では重症程閉塞性障害が高度であったが, 高齢者では重症度によって差は無く, 軽度でも高度の閉塞性障害を呈していた。高齢者の中で罹病期間20年以上とそれ未満を比較すると, 20年以上の群では有意に%V_<50>, %V_<25>が低値であり, 末梢気道病変が考えられた。以上より高齢者喘息は重症度にかかわらず, 非発作時でも閉塞性換気障害を呈し, 軽度の発作でも容易に呼吸不全を生ずる可能性が推察された。

著者関連情報
© 1993 日本アレルギー学会
前の記事 次の記事
feedback
Top