アレルギー
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川崎病の細胞間接着分子と遊走因子に関する研究 : 第2編 末梢血Tリンパ球におけるLFA-1の発現および血清中Soluble CD2値について
辻 佳織
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1993 年 42 巻 4 号 p. 564-570

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抄録

川崎病 (Kawasaki disease, KD) 患児の末梢血Tリンパ球の活性化について細胞間接着分子の面から検討した。KD患児10例について末梢血Tリンパ球におけるlymphocyte function-associated antigen-1 (LFA-1) 及びintercellular adhesion molecule-1 (ICAM-1) の発現をフローサイトメトリーで解析した。また, KD患児14例の血清中のsoluble CD2 (sCD2) 値をsandwich enzyme immunoassayで測定した。KD急性期では末梢血中Tリンパ球数が減少していた。急性期の末梢血Tリンパ球におけるLFA-1α及びLFA-1βの発現は回復期と比しその発現の強いbrightの分画の割合が減少し相対的に発現の弱いdimの分画の割合の増加がみられた。すなわち, KD急性期の末梢血Tリンパ球の減少はLFA-1を強く発現する細胞の減少によるものと考えられた。急性期の末梢血Tリンパ球のICAM-1発現は回復期と比し有意な差はみられなかった。KD急性期の血清中sCD2値は回復期及び正常対照と比し有意差がなかった。以上, 細胞間接着分子の面からKDの末梢血Tリンパ球の活性を検討した。KD急性期の末梢血では活性の低いTリンパ球によって占められている可能性が示唆された。

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© 1993 日本アレルギー学会
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