アレルギー
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重症筋無力症および眞性赤芽球癆患者摘出胸腺細胞の表面形質とIn Vitro IL-2加培養による表面形質の変化
滝口 智夫
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1993 年 42 巻 5 号 p. 665-675

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抄録

成人ヒト胸腺腫細胞のsubpopulationと組織像との関係をしらべるため, 17例の重症筋無力症 (MG) および1例の赤芽球癆 (PRCA) 患者手術摘出胸腺につき検討し, 更に, in vitro IL-2との培養にて反応増殖した細胞はどのような形質かについても検討した。組織型では, MG胸腺の大部分はリンパ球過形成型, 1例のRPCAでは上皮細胞型との混合型であった。MGのうち, 2例はinvasive typeで, 臨床重症度も進行していたが, その他は特に重症度との関連は見いだされなかった。また, 単離細胞とした場合も, 組織型との関係は見いだしえなかったが, CD1^+細胞は平均で50%以上あり, 幼児期胸腺と同じサブセットのパターンを示した。次にin vitroにてIL-2と培養したところ, 膜CD3^-→CD3^+, βF1^-→βF1^+と変わっていったが, 多くの症例ではWT31陽性細胞の比率は不変であった。Parcoll比重遠心分離法にて, これらIL-2加培養胸腺細胞を分画したところ, mCD3+WT31-細胞は主として分画2と3に存在しており, mCD3^- WT31^-のPre T細胞がIL-2に反応増殖したものと考えられる。

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© 1993 日本アレルギー学会
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