アレルギー
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数種の吸入用気管支拡張剤の臨床効果比較
国府 肇
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1993 年 42 巻 6 号 p. 699-705

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抄録

5種類の吸入用気管支拡張剤 (BD) の効果を比較するに当り, まず非発作期にある気管支喘息の同一患者計28名を対象として, アストグラフを用いあらかじめ吸入メサコリン閾値をそれぞれ測定しておいた。そして検査日に各閾値量のメサコリンを吸入させ, 検討しようとするBD負荷前の呼吸機能ベースラインを整えた。試験Iにおいて, 4種のBDすなわちisoproterenol (Iso), salbutamol (Sal), trimetoquinol (Tri) およびorciprenaline (Orc) を, 異なった日に個々に吸入させ, %change of FEV_1を指標として気道拡張効果を比較した。BD吸入直後の気道拡張力は, IsoはOrcよりも大であったが, 他の2者とは差がなかった。経時的に最大の気道拡張力を示したものはSalで, Isoとは差がなかったが, TriおよびOrcより大であった。またIsoは最大拡張力において前述のようにSalとの間に差はなかったが, 他の2者とも差はなかった。TriとOrc間では, 上記いずれのパラメーターにおいて全く差はなかった。最大拡張到達時間TmaxはSalが最大で, 他の3者より長かった。Salの吸入直後の気道拡張力はIsoと並んで大であったので, Salの著しい気道拡張状態は最も長く持続して最大の拡張力を示したことになる。試験IIにおけるProcaterol (Pro) とSalとの比較では, 負荷後1時間迄の初期の気道拡張力はPro はSalより弱かったが, 8時間までの観察ではProの気道拡張は漸次増強した。

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© 1993 日本アレルギー学会
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