アレルギー
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ダニ抗原刺激によるリンパ球のIL2反応性の獲得及びその培養上清による皮膚反応との比較検討
野間 剛吉沢 いづみ川野 豊前田 和一市川 邦男山口 公一馬場 実矢田 純一
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1993 年 42 巻 6 号 p. 757-765

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抄録

ダニ抗原 (Dermatophagoides farinae: Df) で刺激したリンパ球の培養上清を自己の前腕に皮内注射することにより, Dfで活性化したT細胞の作用をin vivoで検討した。健康者では, 皮内反応は陰性あるいは, 平均直径は1.5cm以下であったが, ダニ抗原で感作されている患者では, 有意な陽性を認めた。抗原非添加の場合にえられた上清でも皮内反応は陽性を示したことから患者リンパ球は生体内ですでに活性化されていることが示唆されたがDf抗原を用いてin vitroで再刺激した場合にその反応は大きかった。4℃にてえた上清ではこれらの反応はえられなかった。また卵白アルブミンで再刺激した場合にも反応の増強は認められなかったことから, これらの反応はダニ抗原に特異的であると考えられた。経時的パターンは, 注射後15〜20分後に認められる一過性の反応と, 1〜2時間後から開始し, 5〜6時間後に徐々に拡大し, 24〜48時間まで継続する反応から構成され, 両者の複合反応あるいは後者のみの反応からなっていた。リンパ球のDf刺激により誘導されるinterleukin2 (IL2) の反応性が陽性であった個体では, これらの皮内反応系は陽性であった。今回の皮内反応の成績は気管支喘息患児の二相性の気道反応と類似していた。Df特異的IL2反応性はin vivoにおける皮内反応系とほぼ相関していることを考えると, in vitroにおける即時型あるいは遅発型アレルギー反応を示唆している反応系であると考えられた。

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© 1993 日本アレルギー学会
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