1993 年 42 巻 7 号 p. 809-816
HDを用いて通常の方法でITを施行した64名 (男性27名, 女性37名) について, IT施行前後の血清中の, 抗原特異的IgG, IgG_4, IgE抗体および総IgE量を測定して比較した。抗原はIgG, IgG_4抗体についてはコナヒョウヒダニ (DF) 粗抗原, 精製抗原としてDer f I, Der f IIを使用し, IgE抗体についてはDF粗抗原を使用した。患者をvery short term群 (2年未満, 9名), short term群 (2年以上7年未満, 25名), long term群 (7年以上, 30名) に分けた。IgG抗体は粗抗原に対しては, 3グループとも有意の変化を示さず, 精製抗原に対しては2年以上のグループで増加をみた。IgG_4抗体は粗抗原, 精製抗原に対して2年以上のグループで著明な増加をみた。しかし, very short term群においてはいずれの抗原に対しても有意の増加をみなかった。IgE抗体は総IgE量も抗原特異的IgE抗体も有意には変化しなかった。抗原特異的IgG_4抗体はITにより著明な増加をみるが, ITの臨床経過とは必ずしも一致しなかった。