アレルギー
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アレルギー患児に対する皮内反応による感作状況と環境因子の検討 : 第2報 皮内反応による年齢別感作状況
山口 博明
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1993 年 42 巻 7 号 p. 830-839

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抄録

昭和42年 (1967) から昭和62年 (1987) までの21年間に, 九段坂病院小児科を受診および入院したアレルギー患児2157名を対象として, 特異IgE抗体を皮内反応とRASTについて, 調査年度別と出生年度別にその年齢分布を比較し, アレルギー疾患の発症の増加や年齢との関係について検討した。1) 家塵の皮内反応の陽性率は調査21年間でみると, 1歳で23%, 2歳で50%, 3歳で63%, そして8歳で84%を示した。調査年度別で比較すると, 昭和40年代に比べ, 50, 60年代は2歳から60%と低年齢から陽性率が増加した。出生年度別の陽性率は, 昭和44年以前に比べ, その後に出生したものは, 2歳で40〜70%を示し, 低年齢から陽性率が高く, なかでも55〜59年度は1歳から50%と高い陽性率であった。これらのことは, 近年の住環境の変化によるダニの増加とその感作状況を反映しているものと思われた。2) スギの皮内反応の陽性率は1歳で5%, 4歳で10%, 8歳で16%, そして15歳で30%と加齢と共に増加した。調査年度別では, 40年代は陽性率が10%以下であったが, 50, 60年代が4歳で10%であり, その後加齢と共に増加した。また, 昭和40〜44年度に出生した児では, 13歳以上で30〜60%の陽性率を示したが, それ以降の出生年度でみると, 陽性率は年ごとに若年化し, 昭和50年以降は6歳以上でほぼ半数に陽性率が認められた。これはスギ花粉の飛散数の増加と関連しているものと思われた。

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© 1993 日本アレルギー学会
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