アレルギー
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ELISA法によるRifampicin代謝物に対する特異抗体の検出 : Rifampicinによる副作用発症メカニズムの検討
友永 淑美
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1993 年 42 巻 7 号 p. 854-863

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抄録

rifampicin (RFP) 内服治療中に急性腎不全を発症した肺結核症例を経験した。その発症メカニズムを検討するためにenzyme-linked immunosorbent assay (ELISA) 法を用いてRFP代謝物である3-formylrifamycin-SV (Formylrifamycin) に対する特異IgG, IgM, IgE, IgA抗体及びIgG subclassの検出を試みた。その結果, Formylrifamycin特異IgGおよびIgM抗体が検出され, IgG subclassではFormylrifamycin特異IgG_1抗体を検出した。さらにRFPによる感作状況を知るために, RFP内服中の肺結核患者100例とRFP内服既往のない健常人45例を対象に, ELISA法を用いてFormylrifamycin特異抗体の有無を検討した。その結果, 肺結核患者100例中1例に特異IgG抗体を検出し, IgG subclassでは特異IgG_1抗体を検出した。以上より, RFP内服により, 頻度は高くないものの, 症例によってはFormylrifamycinに感作され, 特異IgG抗体, 特に特異IgG_1抗体が産生されうることが示唆された。また急性腎不全の発症メカニズムにはFormylrifamycinをハプテンとした特異抗体を介した免疫学的機序が重要な役割を果たしていると考えられた。RFPの主要な副作用である肝障害とFormylrifamycin特異抗体との関連は認められず, 他のメカニズムの関与が考えられた。

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© 1993 日本アレルギー学会
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