アレルギー
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アカゲザルの特異抗原誘発気道収縮反応に対するAS-35の効果
高田 秀之田村 弦柴崎 篤本間 正明滝島 任
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1993 年 42 巻 7 号 p. 870-877

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抄録

AS-35は, chemical mediator遊離抑制作用とスルフィドペプチドロイコトリエン拮抗作用を持つ新しい薬剤である。今回, DNP-Ascaris抗原で能動感作したアカゲザルを用いて, 特異抗原吸入による気道収縮反応に対するAS-35の抑制効果を検討した。(方法) 6頭のアカゲザルをDNP-Ascaris抗原で感作し, 感作1週目と2週目に強制換気下で特異抗原を吸入させ, 5分後に肺抵抗 (R_L) と動肺コンプライアンス (Cdyn) を測定した。AS-35は, 特異抗原吸入の30分前と25分前にそれぞれ1 puffずつ吸入させた。感作1週目の気道収縮反応をコントロールとして, 2週目にAS-35吸入後の気道収縮反応を測定した。また, 感作1週目と2週目 (AS-35投与) に100μg/mlのDNP-Ascarisを吸入させ, 5分後に気管支肺胞洗浄 (BAL) を行い気道内変化を測定した。(結果) AS-35は吸入投与において, 2mg, 0.2mgのいずれも特異抗原吸入によるR_Lの上昇並びにCdynの低下を有意に抑制した。また, 対照薬として用いたDSCGの2mg吸入投与群との間にも有意差が認められた。AS-35の投与により, 全例においてBAL液中のヒスタミン含量が低下した。一方, ヒスタミン吸入による気道収縮反応には, AS-35は有意な抑制作用を示さなかった。(結論) アカゲザルにおいて, AS-35は, 特異抗原吸入誘発気道収縮反応をDSCGより低用量で有意に抑制した。この作用は, ヒスタミンの遊離抑制作用に基づくものと考えられた。

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© 1993 日本アレルギー学会
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