アレルギー
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ループス腎炎(LN)の尿細管基底膜(TBM)沈着免疫複合体(IC)の尿細管間質性腎炎への関与
新保 秀光小林 健嗣朴 正佑赤木 太郎戸塚 大輔斎藤 研一北澤 孝三伊藤 正吾杉崎 徹三
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1993 年 42 巻 8 号 p. 941-947

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抄録

ループス腎炎腎生検症例60例における尿細管基底膜 (TBM) への免疫複合体 (IC) の沈着の臨床免疫病理学的意義について検討した。IC沈着をTBMに認めたものは, 60例中16例であった。TBMに沈着したICの性状はヒトIgG成分ならびにIgG Fc分屑成分を用いたdispersion testの結果, 全例に組織よりのTBMに沈着したIgGの溶出を認め, IC構成にIgGリウマトイド因子が関与している可能性が示唆された。TBMにIC沈着を認めた群では, 認めない群に比し, 尿細管間質病変 (TIL) を呈する範囲が拡大する傾向にあった (5.85±9.88% vs 1.79±3.72%)。またIC沈着をTBMに認めた症例の糸球体病変はWHO分類でIV型を呈するものが多かった。TILの程度と腎機能との間には相関が得られなかったが, TBMにIC沈着を認めTILを呈する群では他群に比し有意に補体値は低下していた。これらの結果はTBMへのICの沈着はTILの増強に関与すると同時に, ループス腎炎の活動性を示唆するものと考えられた。

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© 1993 日本アレルギー学会
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