アレルギー
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ヒト末梢血好酸球蛋白リン酸化酵素に関する基礎的検討
清水 雄至黒沢 元博
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1993 年 42 巻 8 号 p. 948-954

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抄録

健常人及びアトピー性皮膚炎患者の末梢血よりPercoll比重遠心法を用いて好酸球を分離した。phosphate free PIPES bufferで2回洗浄した後, PIPES bufferに再浮遊させ, Mg^<2+>共存下に〔γ<32>P〕ATPとincubateした。2-ME共存下に3×disintegration bufferを添加し, 直ちに100℃で加熱して反応を停止させ, SDS/PAGEを行った。得られたgelを乾燥後, autoradiographyを作成し, 蛋白バンドにおける^<32>P標識量をdensito-pattern analyzerを用いて検討した。その結果, 分子量65kDa及び66.2kDaにおける蛋白バンドが明らかに^<32>Pにより標識された。この反応はいわゆる正比重好酸球及び低比重好酸球のいずれにおいても認められた。正比重好酸球を用いてこれら蛋白バンドの^<32>P標識反応の性質について検討すると, この反応はMg^<2+>に依存し, 2〜6mM MgCl_2において最大の反応が認められた。また, ^<32>P標識量は15分後まで経時的に増強し, 20℃で最大の反応がみられた。Ca^<2+>は濃度依存性に抑制的に作用し, cyclic GMPは5×10^<-8>〜5×10^<-6>Mで促進的に作用した。以上より, ヒト末梢血好酸球に蛋白リン酸化酵素が存在することが示唆された。

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© 1993 日本アレルギー学会
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