1994 年 43 巻 10 号 p. 1270-1276
慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー (CIDP)の病因にヘルパーT細胞が重要な役割を果たしている. 近年, ヘルパーT細胞は2種類の主要なサブポピュレーション, Th1細胞及びTh2細胞に分けられ, 両者のバランスが種々の免疫性疾患の病因に重要であることが明らかになってきた. 今回CIDPにおいて, 末梢血中のリンパ球の産生するサイトカインを種々の方法で検討することにより, 両者の機能を検討した. 治療前では両者由来のサイトカイン産生能はともに増加していたが, 治療後症状が改善するとともにTh2細胞優位の傾向がみられ, 疾患が治癒に向かう機序において, Th1細胞優位からTh2細胞優位へのスイッチが重要な役割を果たしている可能性が示された.