アレルギー
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気管支喘息患者末梢血リンパ球のInterferon-γ産生能とその調節機構の解析
黄 国輝川野 豊吉沢 いづみ野間 剛
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1994 年 43 巻 3 号 p. 482-491

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抄録

気管支喘息患者末梢血リンパ球を非刺激で培養した場合健康者と同程度のinterferon-γ(IFN-γ)産生が認められ, concanavalin A (ConA)の刺激培養によりその産生は著しく亢進した. ダニ(Dermatophagoides farinae, Df)抗原で刺激した場合, これらのIFN-γの産生は健康者リンパ球に比較して濃度依存性に低下した. IFN-γ産生細胞はCD4^+45RO^+T細胞であると考えられたが, 患者リンパ球ではダニ抗原刺激時にその産生能は低下していた. また患者リンパ球を卵白アルブミンまたはスギ等のアレルゲンで刺激した場合には, IFN-γ産生の低下は認められなかったことから, Df抗原刺激時における患者リンパ球からのIFN-γ産生の低下は抗原特異的であると考えられた. 健康者リンパ球のIFN-γ産生は添加したinterleukin 4 (IL-4)により抑制された. さらに抗IL-4抗体処理によりDF抗原刺激患者リンパ球のIFN-γ産生能は, 処理抗体濃度依存性に亢進を認めた. 無刺激の場合はほとんど変化を認めなかった. 以上から, ダニ抗原刺激時における患者リンパ球は内因性に産生されてくるIL-4により抑制されている可能性が示唆された. また患者リンパ球におけるDf抗原刺激時のIFN-γ産生の抑制は, 生体内におけるIgE産生の亢進を促進する可能性があると考えられた.

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© 1994 日本アレルギー学会
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