1994 年 43 巻 9 号 p. 1194-1200
transforming growth factor-β1 (TGF-β1) の好酸球生存延長活性に対する作用を検討した. 好酸球生存延長活性の評価は, 末梢血より分離した好酸球の培養3日後の生存率にて評価した. IL-5, IL-3, GM-CSF 100pg/mlまたは IFN-γ 100U/ml存在下での好酸球生存率はそれぞれ 70.7%, 83.5%, 82.4%, 52.0%であったが, TGF-β1の添加により, いずれの生存延長活性も濃度依存的に抑制された. IL-5とIL-3fによる好酸球生存延長活性に対しては TGF-β1 1000pg/ml及び10000pg/mlにおいて, GM-CSF と IFN-γによる好酸球生存延長活性に対しては TGF-β1 10000pg/mlにてそれぞれ抑制は統計学的に有意であった. TGF-β1の好酸球生存率に対する抑制率はIL-5の濃度によっても変化し, IL-5をさらに高濃度にすると減少した. またTGF-β1の好酸球生存に対する抑制は抗TGF-β1抗体により中和された. さらに, 電気泳動での DNA fragmentation (Ladder)の存在により, TGF-β1による好酸球のアポトーシスの誘導を確認した. 以上, TGF-β1は好酸球活性化サイトカインによる生存延長作用に拮抗し, アレルギー炎症の抑制に慟くサイトカインとしての意義を持つ可能性が考えられた.