アレルギー
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卵白経口摂取による即時型過敏反応と卵白成分に対するIgE結合能
山田 一惠宇理須 厚雄近藤 康人八木 映子駒田 英勝稲垣 義彰山田 政功鳥居 新平
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1994 年 43 巻 9 号 p. 1201-1209

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抄録

卵白特異IgE抗体陽性であっても卵白経口摂取により即時型過敏反応 (immediate hypersensitive reactions, 以下IHR)の出現しない症例が存在する. IHR陽性13例と陰性9例を対象として加熱処理 (100℃ 5分間, 10分間, 30分間) 卵白抗原を inhibitorとして RAST inhibitionを行った. 卵白に対するIgE結合能は熱処理によって低下するが, IHR陰性群のIgE抗体は加熱に対して比較的不安定なエピトープと反応していた. 卵白成分 (ovomucoid (以下OM), ovalbumin (以下OA), conalbumin (以下CA), lysozyme (以下Ly))の加熱処理抗原を結合した discで RAST assayを実施し, 卵白特異IgE 抗体に有意差のないIHR陽性19例と陰性8例との間で比較した. OMは加熱によるIgE結合能の低下はなかったが, OA, CA, Lyは有意に低下した. IHR陰性群は陽性群よりも OM (未処理, 5分間, 10分間, 30分間)と5分間加熱OAに対する%bindingが有意に低下した. 以上から, 卵白特異IgE抗体陽性でIHR陰性患者のIgE抗体は, 比較的加熱に対して不安定なエピトープと反応していると示唆された.

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© 1994 日本アレルギー学会
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